さびしいじんせいこうふん |
さびしい人生興奮 |
冒頭文
詩集「雨になる朝」は去年の今頃出版する筈であつたのが一年ほど遅れた。これらの作品は一昨年のもので、去年は妙に困つたことばかりのあつた年で、詩は一つか二つしか書きつけなかつた。そして、今年は頭が重い。 × 私はこの詩集をいそいで読んでほしくないと思つてゐる。本箱のすみへでもほうり込んで置いて、思ひ出したら見るといふことにしてもらひたい。 × 親父の手前、少しは売りたい。
文字遣い
新字旧仮名
初出
「詩と詩論 第四冊」1929(昭和4)年6月
底本
- 尾形亀之助詩集
- 現代詩文庫、思潮社
- 1975(昭和50)年6月10日