あと |
跡 |
冒頭文
過ぎてしまつたことは、あきらめなければならないやうな心残りがあるとしてもどうにもしかたがないのだからしまつがいゝ。又、ざまあみろとばかりに、地の中へ込(ママ)んでしまつたやうな「去年」に舌を出すのも一興であるかも知れない。私は今郷里へ帰つて火(ママ)燵に入つてゐる。下半身は温いが背なかゞ寒い。 過ぎてしまつたその年がよい年であつたにしてもわるい年であつたにしても、私は自分の生活に進歩など
文字遣い
新字旧仮名
初出
「詩神 第五巻第一号」1929(昭和4)年1月
底本
- 尾形亀之助詩集
- 現代詩文庫、思潮社
- 1975(昭和50)年6月10日