へやのなか
部屋の中

冒頭文

雨が降つてゐる。雞が啼いてゐる。 × 何時の間にか雨が止んでゐる。私は机の前に座(ママ)つてゐる。朝、床の中で新聞を読んだ他何もしてゐない。氷のやうなものが食べたい。 × 淋みしい「人生興奮」。 ながいことかゝつて火鉢に炭をついでゐた。 僕は何か喜びにあひたい。このまゝ日が暮れてしまつては、口ひとつきくことが出来ない。 × 僕はいつものやうに

文字遣い

新字旧仮名

初出

「現代文芸 第五巻第二号」1928(昭和3年)3月

底本

  • 尾形亀之助詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年6月10日