あめになるあさ
雨になる朝

冒頭文

この集を過ぎ去りし頃の人々へおくる 序  二月・冬日 二月 子供が泣いてゐると思つたのが、眼がさめると鶏の声なのであつた。 とうに朝は過ぎて、しんとした太陽が青い空に出てゐた。少しばかりの風に檜葉がゆれてゐた。大きな猫が屋根のひさしを通つて行つた。 二度目に猫が通るとき私は寝ころんでゐた。 空気銃を持つた大人が垣のそとへ来て雀をうつたがあたらなかつた。

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 尾形亀之助詩集
  • 現代詩文庫、思潮社
  • 1975(昭和50)年6月10日初版第1刷