この集を過ぎ去りし頃の人々へおくる序 二月・冬日二月 子供が泣いてゐると思つたのが、眼がさめると鶏の声なのであつた。 とうに朝は過ぎて、しんとした太陽が青い空に出てゐた。少しばかりの風に檜葉がゆれてゐた。大きな猫が屋根のひさしを通つて行つた。 二度目に猫が通るとき私は寝ころんでゐた。 空気銃を持つた大人が垣のそとへ来て雀をうつたがあたらなかつた。 穴のあいた靴下をはいて、旗をもつ