一 むかしあるところに、田を持って、畑を持って、屋敷(やしき)を持って、倉(くら)を持って、なにひとつ足りないというもののない、たいへんお金持ちのお百姓(ひゃくしょう)がありました。それで村いちばんの長者(ちょうじゃ)とよばれて、みんなからうらやましがられていました。 この長者とおなじ村に、これはまた持っているものといっては、ふるいすきとくわとかまがいっちょうずつあるばかりという、たいへん貧