たいへいようまじょう
太平洋魔城

冒頭文

怪しい空缶 どういうものか、ちかごろしきりと太平洋上がさわがしい。あとからあとへと、いくつもの遭難事件が起るのであった。 このことについて、誰よりもふかい注意をはらっているのは、わが軍令部の太平洋部長であるところの原大佐であった。 その原大佐は、いましも軍令部の一室に、一人の元気な青年と、テーブルをかこんでいるところだった。 「おい太刀川(たちかわ)。この次々に起る

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

底本

  • 海野十三全集 第6巻 太平洋魔城
  • 三一書房
  • 1989(平成元)年9月15日