うんめいろんしゃ
運命論者

冒頭文

一 秋の中過(なかばすぎ)、冬近くなると何(いず)れの海浜(かいひん)を問(とわ)ず、大方は淋(さび)れて来る、鎌倉(かまくら)も其(その)通(とお)りで、自分のように年中住んで居(い)る者の外(ほか)は、浜へ出て見ても、里の子、浦の子、地曳網(じびきあみ)の男、或(あるい)は浜づたいに往通(ゆきかよ)う行商(あきんど)を見るばかり、都人士(とじんし)らしい者の姿を見るのは稀(まれ)なのであ

文字遣い

新字新仮名

初出

「山比古 第十號」1903(明治36)年3月5日

底本

  • 小田切進二編 日本の文学6 武蔵野・春の鳥
  • ほるぷ出版
  • 1985(昭和60)年8月1日