もくねじ
もくねじ

冒頭文

倉庫(そうこ) ぼくほど不幸なものが、またと世の中にあろうか。 そんなことをいい出すと、ぜいたくなことをいうなと叱(しか)られそうである。しかし本当にぼくくらい不幸なものはないのである。 ぼくをちょいと見た者は、どこを押せばそんな嘆(なげ)きの音(ね)が出るのかと怪(あや)しむだろう。身体はぴかぴか黄金色(おうごんいろ)に光って、たいへんうつくしい。小さい子供なら、ぼくを

文字遣い

新字新仮名

初出

「譚海」1943(昭和18)年1月

底本

  • 海野十三全集 第10巻 宇宙戦隊
  • 三一書房
  • 1991(平成3)年5月31日