北風を背になし、枯草白き砂山の崕(がけ)に腰かけ、足なげいだして、伊豆連山のかなたに沈む夕日の薄き光を見送りつ、沖(おき)より帰る父の舟(ふね)遅(おそ)しとまつ逗子(ずし)あたりの童(わらべ)の心、その淋(さび)しさ、うら悲しさは如何あるべき。 御最後川の岸辺に茂る葦(あし)の枯れて、吹く潮風に騒ぐ、その根かたには夜半(よわ)の満汐(みちしお)に人知れず結びし氷、朝の退潮(ひきしお)に