たいしかんのしまつきかん ――きんはかせシリーズ・しち――
大使館の始末機関 ――金博士シリーズ・7――

冒頭文

1 ずいぶんいい気持で、兵器発明王の金博士は、豆戦車(まめせんしゃ)の中に睡った。 睡眠剤(すいみんざい)の覚(さ)め際(ぎわ)は、縁側(えんがわ)から足をすとんと踏み外(はず)すが如く、極(きわ)めてすとん的なるものであって、金博士は鼾(いびき)を途中でぴたりと停めたかと思うと、もう次の瞬間には、 「さて、この大使館では朝飯(あさめし)にどんな御馳走を出しよるかな」

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1941(昭和16)年11月

底本

  • 海野十三全集 第10巻 宇宙戦隊
  • 三一書房
  • 1991(平成3)年5月31日