だいぼさつとうげ 07 とうかいどうのまき
大菩薩峠 07 東海道の巻

冒頭文

一 これらの連中がみんな東を指して去ってから後、十日ほどして、一人の虚無僧(こむそう)が大湊(おおみなと)を朝の早立ちにして、やがて東を指して歩いて行きます。これは机竜之助でありました。 竜之助の父弾正(だんじょう)は尺八を好んで、病にかからぬ前は、自らもよく吹いたものです。子供の時分から、それを見習い聞き習った竜之助は、自分も尺八が吹けるのでありました。 眼の悪い旅には

文字遣い

新字新仮名

初出

第七巻「東海道の巻」「都新聞」1918(大正7)年 1月1日~3月6日

底本

  • 大菩薩峠2
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日