だいぼさつとうげ 06 あいのやまのまき
大菩薩峠 06 間の山の巻

冒頭文

一 内宮(ないくう)と外宮(げくう)の間にあるから間(あい)の山(やま)というのであって、その山を切り拓(ひら)いて道を作ったのは天正年間のことだそうであります。なお委(くわ)しくいえば、伊勢音頭(いせおんど)で名高い古市(ふるいち)の尾上坂(おべざか)と宇治の浦田坂の間、俗に牛谷というところあたりが、いわゆる間の山なので、そこには見世物や芸人や乞食がたくさん群がって、参宮の客の財布(さいふ

文字遣い

新字新仮名

初出

第六巻「間の山の巻」「都新聞」1917(大正6)年 10月25日~12月30日

底本

  • 大菩薩峠2
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日