だいぼさつとうげ 05 りゅうじんのまき
大菩薩峠 05 龍神の巻

冒頭文

一 天誅組がいよいよ勃発(ぼっぱつ)したのは、その年の八月のことでありました。十七日には大和(やまと)五条の代官鈴木源内を斬って血祭りにし、その二十八日は、いよいよ総勢五百余人で同国高取の城を攻めた日。その翌日、十津川(とつがわ)へ退いて、都合(つごう)二千余人で立籠(たてこも)った時の勢いは大いに振(ふる)ったもので、この分ならば都へ攻め上り、君を助けて幕府を倒すこと近きにありと勇み立ち、

文字遣い

新字新仮名

初出

第五巻「竜神の巻」「都新聞」1915(大正4)年 6月12日~7月23日

底本

  • 大菩薩峠2
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日