一 むかし近江国(おうみのくに)の余呉湖(よごのうみ)という湖水(こすい)に近(ちか)い寂(さび)しい村(むら)に、伊香刀美(いかとみ)というりょうしが住(す)んでおりました。 ある晴(は)れた春(はる)の朝(あさ)でした。伊香刀美(いかとみ)はいつものようにりょうの支度(したく)をして、湖水(こすい)の方(ほう)へ下(お)りて行こうとしました。その途中(とちゅう)、山の上にさしかかりますと、