一 むかし、京都(きょうと)から諸国修行(しょこくしゅぎょう)に出た坊(ぼう)さんが、白河(しらかわ)の関(せき)を越(こ)えて奥州(おうしゅう)に入(はい)りました。磐城国(いわきのくに)の福島(ふくしま)に近(ちか)い安達(あだち)が原(はら)という原(はら)にかかりますと、短(みじか)い秋(あき)の日がとっぷり暮(く)れました。 坊(ぼう)さんは一日(にち)寂(さび)しい道(