たんていやわ
探偵夜話

冒頭文

火薬庫(かやくこ) 例の青蛙堂主人から再度の案内状が来た。それは四月の末で、わたしの庭の遅桜も散りはじめた頃である。定刻の午後六時までに小石川の青蛙堂へ着到(ちゃくとう)すると、今夜の顔ぶれはこの間の怪談会とはよほど変わっていた。例によって夜食の御馳走になって、それから下座敷の広間に案内されると、床の間には白い躑躅(つつじ)があっさりと生けてあるばかりで、かの三本足の蝦蟆(がま)将軍はどこへ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 岡本綺堂読物選集 6 探偵編
  • 青蛙房
  • 1969(昭和44)年10月10日