ごくちゅうへのてがみ 04 せんきゅうひゃくさんじゅうななねん(しょうわじゅうにねん)
獄中への手紙 04 一九三七年(昭和十二年)

冒頭文

一月八日午後 市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より(封書) 一月八日  第二十六信 晴れ。五十一度。緑郎のピアノの音頻り。 今年の正月は去年とくらべて大変寒さがゆるんで居りますね。そちらいかがですか。お体の工合はずっと順調ですか。畳の上で体が休まるということを伺って、きわめて具体的にいろいろ理解いたしました。何でも、世界を珍しい暖流が一廻りしたそうで、大変あったかい。それで却って健

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第十九巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年2月20日