ごくちゅうへのてがみ 03 せんきゅうひゃくさんじゅうろくねん(しょうわじゅういちねん)
獄中への手紙 03 一九三六年(昭和十一年)

冒頭文

四月十五日 今晩は。 いま、夜の八時十分前。一九三六年四月十五日。慶応の病室。スエ子は緑郎の作曲が演奏される音楽会へ出かけてゆき、私ひとり室の隅の机に向って、これを書いて居ます。 ゆうべから、私はこの風変りな手紙を、これ迄いつも貴方へあげる手紙を書いていた時のような楽しんだ心持で書きはじめる仕事に着手しました。三月二十四日に予審が終った時、私は外に出たら何よりも先にあ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第十九巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年2月20日