ごくちゅうへのてがみ 02 せんきゅうひゃくさんじゅうごねん(しょうわじゅうねん)
獄中への手紙 02 一九三五年(昭和十年)

冒頭文

一月五日 市ヶ谷刑務所の顕治宛 上落合より(封書) あけましてお目出度う。私たちの三度目の正月です。元日は、大変暖かで雨も朝はやみ、うららかでしたが、そちらであの空をご覧になりましたろうか。去年の二十八日には、私が家をもったおよろこびをしてくれるといって、健坊の両親、栄さん夫婦、徳ちゃん夫婦があつまり、一つお鍋をかこんで大変愉快に大笑いをしました。その晩は安心してのんびり出来るよう、朝六時ま

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第十九巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年2月20日