せきせいきょ
石清虚

冒頭文

雲飛(うんぴ)といふ人は盆石(ぼんせき)を非常に愛翫(あいぐわん)した奇人(きじん)で、人々から石狂者(いしきちがひ)と言はれて居たが、人が何と言はうと一切(さい)頓着(とんぢやく)せず、珍(めづら)しい石の搜索(さうさく)にのみ日を送つて居た。 或日(あるひ)近所(きんじよ)の川(かは)に漁(れふ)に出かけて彼處(かしこ)の淵(ふち)此所(こゝ)の瀬(せ)と網(あみ)を投(う)つて廻(ま)

文字遣い

旧字旧仮名

初出

『東洋畫報』第一巻第五號、1903(明治36)年7月3日

底本

  • 國木田獨歩全集 第四巻
  • 学習研究社
  • 1966(昭和41)年2月10日