みんぽうとどうぎじょうのせきにん
民法と道義上の責任

冒頭文

民法が改正されて、妻の人格がみとめられるようになった。 ふるい民法では、婦人が結婚して妻となると、無能力者になり、経済上の権利、親権その他で無能力とされていた。新しい民法は、婦人の権利の抹殺をとりけしたものであり、財産にたいして妻は夫と似た発言権をもつことになった。 権利があるということは、義務があるということである。夫が不当財産を蓄積して、一家の経済が向上した場合、妻はそれを

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京民報」1948(昭和23)年11月21日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十五巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年5月20日