えどかとうきょうか
江戸か東京か

冒頭文

私が子供の時に見たり聞いたりしたことを雑然とお話しようが、秩序も何もありませんよ。その上子供の時の事ですから、年代などは忘れてしまってる。元治慶応明治の初年から十五、六年までの間です。私が住っていた近くの、浅草から両国馬喰町(ばくろちょう)辺の事ですか——さようさね、何から話して好いか——見世物ですな、こういう時代があった。何でもかんでも大きいものが流行(はや)って、蔵前(くらまえ)の八幡の境内に

文字遣い

新字新仮名

初出

「趣味 第四巻第八号」1909(明治42)年8月

底本

  • 梵雲庵雑話
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1999(平成11)年8月18日