ひぼんなるぼんじん
非凡なる凡人

冒頭文

上 五六人の年若い者が集まって互いに友の上を噂(うわさ)しあったことがある、その時、一人が—— 僕の小供(こども)の時からの友に桂正作(かつらしょうさく)という男がある、今年二十四で今は横浜のある会社に技手として雇われもっぱら電気事業に従事しているが、まずこの男ほど類の異(ちが)った人物はあるまいかと思われる。 非凡人(ひぼんじん)ではない。けれども凡人でもない。さりとて

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本文学全集12 国木田独歩 石川啄木集
  • 集英社
  • 1972(昭和47)年10月7日