ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯

冒頭文

明治倶楽部(クラブ)とて芝区桜田本郷町のお堀辺(ほりばた)に西洋作(づくり)の余り立派ではないが、それでも可なりの建物があった、建物は今でもある、しかし持主が代って、今では明治倶楽部その者はなくなって了(しま)った。 この倶楽部が未(ま)だ繁盛していた頃のことである、或(ある)年の冬の夜、珍らしくも二階の食堂に燈火(あかり)が点(つ)いていて、時々(おりおり)高く笑う声が外面(そと)に漏れてい

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 牛肉と馬鈴薯・酒中日記
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1970(昭和45)年5月30日