びんぼういっき、にき、さんき わがらくはくのき
貧乏一期、二期、三期 わが落魄の記

冒頭文

第一期 僕は、僕の母の胎内にゐるとき、お臍(へそ)の穴から、僕の生れる家(うち)の中を、覗いてみて、 「こいつは、いけねえ」 と、思つた。頭の禿げかゝつた親爺と、それに相当した婆(ばゝ)とが、薄暗くつて、小汚く、恐ろしく小さい家の中に、坐つてゐるのである。だが、神様から、こゝへ生れて出ろと、云はれたのだから、 「仕方がねえや」 と、覚悟をしたが、その時から、貧乏に

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆85 貧
  • 作品社
  • 1989(平成元)年11月25日