せかいしんちつじょのげんり
世界新秩序の原理

冒頭文

世界はそれぞれの時代にそれぞれの課題を有し、その解決を求めて、時代から時代へと動いて行く。ヨウロッパで云へば、十八世紀は個人的自覺の時代、所謂個人主義自由主義の時代であつた。十八世紀に於ては、未だ一つの歴史的世界に於ての國家と國家との對立と云ふまでに至らなかつたのである。大まかに云へば、イギリスが海を支配し、フランスが陸を支配したとも云ひ得るであらう。然るに十九世紀に入つては、ヨーロッパといふ一つ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 西田幾多郎全集 第十二巻
  • 岩波書店
  • 1966(昭和41)年1月26日