かわばたやすなりだいよんたんぺんしゅう「しんじゅう」をしゅだいとせるヴァリエイション
川端康成第四短篇集「心中」を主題とせるヴァリエイシヨン

冒頭文

彼が妻と七才になる娘とを置き去りにして他郷へ出奔してから、二年になる。その間も、時々彼の心を雲翳のやうに暗く過るのは娘のことであつた。 「若し恙なく暮してゐるのだつたら、もう學校へあがつてゐる筈だ。あの娘等の樣に」 他郷の町の娘等は歌を歌つたり、毬をついたり、幸福そ((ママ))うに學校へ通つてゐた。——幸福そ((ママ))うに。 そのうちに彼は、父に捨てられた幼い者の姿で、毬を

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 梶井基次郎全集 第一巻
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年11月10日