たいらのまさかど
平将門

冒頭文

千鍾(せんしよう)の酒も少く、一句の言も多いといふことがある。受授が情を異にし啐啄(そつたく)が機に違(たが)へば、何も彼(か)もおもしろく無くつて、其れも是もまづいことになる。だから大抵の事は黙つてゐるに越したことは無い、大抵の文は書かぬが優(まさ)つてゐる。また大抵の事は聴かぬがよい、大抵の書は読まぬがよい。何も申(さる)の歳だからとて、視ざる聴かざる言はざるを尚(たつと)ぶわけでは無いが、嚢

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩現代文学大系3 幸田露伴 樋口一葉集
  • 筑摩書房
  • 1978(昭和53)年1月15日