いまにわれらも
今にわれらも

冒頭文

二字伏字のおかげで農村の生活は一層ひどくなった。 この間東北の田舎へ帰ったひとからの手紙によると、村で五十銭ダマなどはもう半年も前から見ることが出来ない状態だそうだ。年とったおっ母さんが野菜売りに歩きはじめて一日に十銭から十五銭。救農事業というものが、どこの地方でも食わせものであることに、あきれたと書いている。 内職もひどいもので繩一まる(五百五十間)三十六銭。しかもこれは馴れ

文字遣い

新字新仮名

初出

「農民の旗」1933(昭和8)年3月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日