こどものせかい
子供の世界

冒頭文

或る若い母さんのうちに小学四年になった男の子がいる。一人っ子であるから、どうしても親たちの生活の目撃者となることが多い。 その子が或るとき作文を書いた。父さんと母さんが喧嘩をしました。父さんが大きい声で出てゆけと云って、母さんを外へ押し出しました。僕もついて出ました。夜で、どこへ行くことも出来ません。母さんは家の外をぐるぐるまわって、どこか入るところはないかとさがしましたが、父さんがどこ

文字遣い

新字新仮名

初出

不詳

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日