あたらしいびをつくるこころ
新しい美をつくる心

冒頭文

この頃いったいに女のひとの身なりが地味になって来たということは、往来を歩いてみてもわかる。 ひところは本当にひどくて、女の独断がそのまま色彩のとりあわせや帽子の形やにあらわれているようで、そういう人たちがいわば無邪気であればあるほどこちらで何となし顔のあからむような思いもないことはなかった。たとえば帽子の型のある奇抜な面白味というようなものは、それを頂いている顔に漲っている知的な趣、体の

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1940(昭和15)年12月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日