こうふくのかんかく
幸福の感覚

冒頭文

幸福というものについて、おそらく人間は永久に考えるだろうと思う。いろんな時代がこれから人類の歴史にもたらされて、その内容は、きょう生きている私たちの文明の程度では予想もしなかったようなものにもなるだろう。そういう時代が来ても、人間はやはり幸福ということについて考えることをやめまい。 けれども、現在女の幸福という特別の関心でふれられている、女にとっての幸福の問題はどうなるであろうか。別のい

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人画報」1940(昭和15)年8月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日