いせいのあいだのゆうじょう |
異性の間の友情 |
冒頭文
先頃、友情というものについてある人の書かれた文章があった。その中にニイチェの言葉が引用されている。「婦人には余りにも永い間暴君と奴隷とがかくされていた。婦人に友情を営む能力のない所以であって、婦人の知っているのは恋愛だけである」と。その文章の筆者は「婦人についてかく言い得るや否やは、問題であるけれども」とただし書を添えながら、元来友情は、お互が対等であって互に尊敬し合うことのできる矜持(きょうじ)
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論」1939(昭和14)年10月号
底本
- 宮本百合子全集 第十四巻
- 新日本出版社
- 1979(昭和54)年7月20日