あたらしいふじんのしょくばとにんむ あすのふじんへ
新しい婦人の職場と任務 明日の婦人へ

冒頭文

このかいわいは昼も夜もわりあいに静かなところである。北窓から眺めると欅の大木が一群れ秋空に色づきかかっていて、おりおり郊外電車の音がそっちの方から聞えてくる。鉄道線路も近いので、ボッボッボッボと次第に速く遠く消え去って行く汽車の響もきこえ、一日のうちに何度か貨車が通過するときには家が揺すぶれる。毎夜十一時すこし過ぎてから通るのが随分重いとみえて、いつもなかなかひどく揺れる。それから夜中の二時頃通る

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人公論」1937(昭和12)年12月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日