えいがのれんあい
映画の恋愛

冒頭文

近代企業としての映画は、経営の上にも技術の上にも急速な発達をとげているのだが、映画に扱われている女の生活というものは一様にある水準に止まっている。技術的にはアメリカやフランスの映画が先へ歩いて行っている部分のあることは明かなのに、映画の主題として女が扱われる時、愛人として妻としてまた母として、女の犠牲の面から筋が扱われていることでは、アメリカも日本も全く同じである。このことはこれまでしばしば注意を

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本映画」1937(昭和12)年8月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日