こころひとつ
心ひとつ

冒頭文

是非を超えた最後の手段として離婚は認めなければなりません。内外的原因によって過(あやま)った結婚をし人間としてその異性との生活が、救済の余地無い程の破綻を生じた場合、より以上の不正、人格的堕落を防止する為には、強制的、又相互的離婚を決行するよりほかありますまい。 従来の誤った結婚観念、習慣、制度を改正し、簇出しつつある多くの不正、不幸を取除くために正当な離婚法が制定されることは急務です。

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京日日新聞」1921(大正10)年2月8日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十四巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年7月20日