だいのうしゅじゅつ
大脳手術

冒頭文

美しき脛(すね) いちばん明るい窓の下で、毛脛(けずね)を撫でているところへ、例によって案内も乞(こ)わず、友人の鳴海三郎(なるみさぶろう)がぬっと入ってきた。 「よう」と、鳴海はいつもと同じおきまりの挨拶声(あいさつごえ)を出したあとで、「そうやって、君は何をしているんだ」と訊(き)いた。 「うん」 と、私は生返事をしただけで、やっぱり前と同じ動作を続けていた。近頃すっかり脂

文字遣い

新字新仮名

初出

「富士」1945(昭和20)年11月

底本

  • 海野十三全集 第11巻 四次元漂流
  • 三一書房
  • 1988(昭和63)年12月15日