めすについて
雌に就いて

冒頭文

フィジー人は其(その)最愛の妻すら、少しく嫌味(いやみ)を覚ゆれば忽(たちま)ち殺して其肉を食うと云う。又タスマニヤ人は其妻死する時は、其子までも共に埋めて平然たる姿なりと。濠洲の或る土人の如きは、其妻の死するや、之(これ)を山野に運び、其脂をとりて釣魚の餌となすと云う。 その若草という雑誌に、老い疲れたる小説を発表するのは、いたずらに、奇を求めての仕業(しわざ)でもなければ、読者へ

文字遣い

新字新仮名

初出

「若草」1936(昭和11)年5月

底本

  • 太宰治全集1
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1988(昭和63)年8月30日