「どうかんがえるか」について
「どう考えるか」に就て

冒頭文

最近、一つの示唆に富んだ経験をした。この頃は、いろいろなところで新しい雑誌の発行や本の出版計画がある。或る書房が、文化・文学雑誌の創刊をすることとなって、原稿をたのまれた。時間がなくて、すぐその希望には応じかねた。けれども、一部の作家が全く窒息させられていた何年かの間、少くともその書房は、将来の展望を失わず、文化の本質に対して持するところある態度を保って来ていた。ただ断ってしまうのは、何か気のすま

文字遣い

新字新仮名

初出

「改造」1946(昭和21)年2月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十三巻
  • 新日本出版社
  • 1979(昭和54)年11月20日