『こよみ』とそのさくしゃ
『暦』とその作者

冒頭文

壺井栄さんの「大根の葉」という小説が書きあげられたのは昭和十三年の九月で、それが『文芸』に発表されたのは十四年の早春のことであったと思う。それから後に書いた「暦」と他の短篇とを合わせて『暦』という短篇集が出たのは去年の三月である。 「大根の葉」を発表してから壺井さんが一人の婦人作家として持っている特色はすぐ一般に理解され、親愛のこころをもって迎えられて今日に至っている。今度新潮賞をうけること

文字遣い

新字新仮名

初出

「報知新聞」1941(昭和16)年2月27日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十二巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年4月20日