わかいせだいのためのにほんこてんけんきゅう 『せいしょうなごんとそのぶんがく』(せきみさおちょ) |
若い世代のための日本古典研究 『清少納言とその文学』(関みさを著) |
冒頭文
国文学というものは、云わばこれから本当の生きた研究がされるのではないだろうか。旧来の国文学は専門家の間にどこまでも鑑賞、故実穿鑿(せんさく)の態度で持ち来されていて、推移する文化の科学的な足どりとは自身の研究の方法を一致させていなかった。そのためにこの三四年来、文学以外の領野からの力で日本古典文学への関心が高められはじめたとき、学問としての客観的な態度で而も古典の正しい評価を教える専門家も乏しかっ
文字遣い
新字新仮名
初出
不詳
底本
- 宮本百合子全集 第十二巻
- 新日本出版社
- 1980(昭和55)年4月20日