『このこころのほこり』 パール・バックちょ
『この心の誇り』 パール・バック著

冒頭文

私たちは、どんな本でも、自分の生活というものと切りはなして読めない。そして、どんな本を読んでも、最後にはその印象が落ちてみのる生活の土壤というものは、日本の社会のさまざまな特質によって配合され、性格づけられたものである現実も知っている。私たちは、植物のようにひとりでにその土壤から生えているのではなくて、力よわくとも一人の人間の女であるから、自分の生命の価値について冷淡ではあり得ない。よりよく生きた

文字遣い

新字新仮名

初出

「新女苑」1940(昭和15)年9月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十二巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年4月20日