「よあけまえ」についてのししん いけだとしおあてししんのいちぶ
「夜明け前」についての私信 池田寿夫宛私信の一部

冒頭文

(前略) 藤村がフランスにいた間に、十九世紀というものを世界的な感情で感得し、日本の十九世紀というものを描きたく思ったということ。そして、十九世紀を維新後と徳川時代との区切りで見ず、昔をただ反動保守の力としてばかり見ず、その中に明治を生んだもの、その中に新しい活力をひそませていたものを描きたいということが、なかで読んだ藤村文学読本のどこかにあったパリでの感想中に書かれていました。このこと

文字遣い

新字新仮名

初出

「批評」1936(昭和11)年9月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日