かしゅう『しゅうだんこうしん』によせて
歌集『集団行進』に寄せて

冒頭文

『集団行進』をいただき、大変に興味ふかく、得るところも多く拝見しました。巻頭の序文によると、この集は最近一年間において短歌をつくる労働者作家が非常にふえたことを一つの特徴として示しているとのことです。 この一年と云えば私が不自由な拘禁生活を自身の深い経験の一つとして過した月日であり、その間に外では、短歌の形で自分たちの生活の感情を表現しようとする意志が勤労階級の中から高まって来た月日であった

文字遣い

新字新仮名

初出

「短歌評論」 1936(昭和11)年7月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日