ふゆをこすつぼみ
冬を越す蕾

冒頭文

十一月号の『改造』と『文芸』のある記事を前後して読んで、私はなにか一つの大きい力をもったシムフォニーを聴いた時のような感情の熱い波立ちをおぼえた。『文芸』で、大宅壮一氏が「転向讚美者とその罵倒者」という論文を書いている。一方、カール・ラデックがこの八月第一回全連邦ソヴェト作家大会で行った報告演説が、「プロレタリア芸術の課題」という見出しで翻訳されて『改造』にのっている。 二つの論文は、互

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸」1934(昭和9)年12月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日