しょうせつのせんをおえて
小説の選を終えて

冒頭文

私のところへ送付された十数篇の応募原稿の中から、左の四篇を予選にのこして回覧した。予選には洩れたが、何かの意味で書き直したら作者の勉強になるだろうと考えられた作品にはそれぞれ寸評を加えて原稿を送りかえした。 今回は、大体に云って特にずばぬけた作品がなかったのは残念である。この次には大いに期待している。 「火葬場の下」  榎南謙一 特殊部落に恐るべき悪臭をふきつける火葬場移転要

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸評論」1934(昭和9)年10月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日