どうしこばやしたきじのぎょうせき さくひんをちゅうしんとして
同志小林多喜二の業績 作品を中心として

冒頭文

同志小林多喜二は、日本のプロレタリア文学運動において、実に類のすくない一人の傑出した世界的作家であった。 小説は、小樽で銀行に勤めていた時分から書きはじめていたが、その時分から同志小林の作品は、はっきり勤労階級の生活の中に根をおろし、勤労階級の生活の苦痛と、その苦痛の社会的原因をあばき出そうとする努力に向けられていた。 初期のいくつかの短篇は、この社会で勤労階級の男や女が闘って

文字遣い

新字新仮名

初出

「大衆の友」日本プロレタリア文化連盟、1933(昭和8)年3月10日小林多喜二記念号外

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日