ぶんげいじひょう
文芸時評

冒頭文

「抒情歌」について          ——その美の実質—— 二月号の『中央公論』に、川端康成の「抒情歌」という小説がのっている。印刷して二十三ページもあり、はじめから終りまでたるみない作家的緊張で書かれている。川端康成の近頃の創作の中で、決していい加減につくられたものでないのはよくわかる。 字も読めない子供時代から、かんで歌留多をとり、神童といわれたような少女が次第に年ごろとなり

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1932(昭和7)年1月28~31日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日