あらたなプロレタリアぶんがく アレゴリーとふうし
新たなプロレタリア文学 アレゴリーと諷刺

冒頭文

一 さきごろ中野重治が二つの短いアレゴリーを『改造』へ書いた。 自分はよんでいないけれども、彼は先に「根」という、やっぱりアレゴリーの成功した作品を書いたそうだ。 というと、つまり、『改造』に発表された方のはアンマリ成功していないということになる。作者の主観的な、古風な言葉でいえばある述懐というようなものは理解できる。が、作品は註つきでよませる物ではないから、あの二つは、

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1931(昭和6)年7月1~3日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年12月20日