ぶんがくとふじん
文学と婦人

冒頭文

この頃はともかく婦人作家の活動が目に立って来たけれども、婦人の評論家が出ないうちは、文学への全面的な進出として語ることは出来ないという意味の文章が、先頃某紙の文芸欄にあって、いろいろ面白く思った。 明治以来今日まで日本文学を押しすすめて来た文学への責任が、一半は婦人の肩にもかかっているものだと男の作家によって思われた時代が嘗ていつ在っただろうか。そういう全体の歴史への意味での責任を自身の

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1940(昭和15)年4月9日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十一巻
  • 新日本出版社
  • 1980(昭和55)年1月20日